太陽光発電のメリットとデメリット
2021/10/13
住宅用太陽光発電設備を導入するメリット デメリット
画像の平家一戸建て住宅の太陽光発電は実際に施工したもので太陽光パネル容量9.9kWです。
少し太陽光発電の説明をします。
太陽光発電には、固定価格買取制度があり自家発電した電気を電力会社へ電気を売ることができます。
FIT売電価格には、発電容量によりいくつか種類があります。下記の価格は2020年度の売電価格です。
①10kW未満=21円
(一戸建て住宅はほとんどこちらです)
②10kW以上50kW未満=13円
(社屋・工場・店舗の屋根・野立て)
③50kW以上250kW未満=12円
(社屋・工場・店舗の屋根・野立て)
④250kW以上=入札
(社屋・工場・店舗の屋根・野立て)
*①は「発電した電気はまず自家消費して、余った分の電気を売電します」
*②〜④は、「自家消費はできず、発電した分を全て売電します」
上記の①、②、③の容量ですが、太陽光パネルの容量、もしくはパワーコンディショナーの容量、どちらかの容量になります。
例えば、①(一戸建て住宅が多い)のパターンだと、
屋根の上の太陽光パネルの容量=15kW
パワーコンディショナーの容量=9.9kW
このように、太陽光パネルかパワーコンディショナーどちらかが10kW未満ならOKです。
最初の頃は、太陽光パネルの容量とパワーコンディショナーの容量は同じくらいにしていました。
数年前から太陽光パネルの価格が下がってきているため、上記の例①のようにパワーコンディショナーの容量に対して、太陽光パネルの容量を大きくする(2倍以上)ことがあります。
これを「過積載」と言っているのですが、例えば①の10kW未満で太陽光発電を設置したい場合、どちらかが10kW未満であればいいので、パワーコンディショナーの方を10kW未満にして、太陽光パネルをできるだけ多く設置します。
もし屋根の上に設置するとして、20kW設置できる屋根の広さがあるなら20kW設置します。そうすることで、発電ピーク以外の時間帯でもより多くの電気を発電し売電することができます。太陽光パネルの価格が安いからこそできることですね。
①の売電価格は48円からスタートし、②、③、④の売電価格は確か40円からスタートしました。スタート時は売電価格も高いですが、それと同時にまだ太陽光システム一式も高価なものでした。
現在は売電価格は下がりましたが、同時に太陽光パネルなどのシステム価格が下がっていますので、導入するのはそんなに難しいことではありませんし、まだまだメリットはあると感じます。
私が自分の家を今から新築するなら確実に太陽光発電を導入します。
そして現在でも一戸建て住宅に太陽光発電を設置される方も普通にいるかと思います。
売電価格が高いに越したことはありませんが、太陽光発電は売電するだけがメリットではなく、他にもメリットはあると思います。
⚫︎一戸建て住宅に太陽光発電を導入するメリット
①売電収入を得られる
②オール電化住宅なら光熱費(電気代)0円が現実になる
③停電時でも電気を使用できる(パワーコンディショナー1台につき1500wまで)
④蓄電池の導入も可能になる
他にもメリットは、二酸化炭素を排出しないとか地球環境に優しいなどがあると思いますが、やはり「一戸建て住宅に太陽光発電を導入するメリット」は、
「オール電化住宅なら光熱費(電気代)0円が現実になる」というところだと思います。
しかも、太陽光パネルもパワーコンディショナーもそれなりに長寿命で、太陽光パネルは30年、パワーコンディショナーは15年と言われています。
ただ、機器の経年劣化で10年後の発電量は多少落ちていると思います。
⚫︎一戸建て住宅に太陽光発電を導入するデメリット
①初期投資には100万円〜程度かかる
②いつかは太陽光パネルの処分費が発生する
他にもデメリットは、「屋根に設置した場合、雨漏れする可能性がある」とか、「曇りの日はあまり発電しない」、「夏場の暑い時期は発電効率が落ちる」などが出てくると思いますが、
「屋根に設置した場合、雨漏れする可能性がある」というのは、正しい施工をしていない場合などで、正しい施工をしていれば、雨漏れすることはまずありませんし、私自身今まで施工後に雨漏れしたという経験はありません。
「曇りの日はあまり発電しない」というのも、10年以上前の太陽光システムで、現在の太陽光システムは曇りの日でも当然晴れの日よりは落ちますが、しっかり発電します。
「夏場の暑い時期は発電効率が落ちる」というのも昔の太陽光パネル、パワーコンディショナーであれば、発電効率が落ち、発電量が低下するというのはありましたが、今では夏場は1年間の中でも一番発電量が多いほどです。
このように、デメリットはほとんど無いと私は感じています。
少し話は変わりますが、
住宅用でも産業用でも太陽光発電を設置すると発電するので売電できます。
その売電した電気代が太陽光発電を設置している個人様や企業様に発電量に応じて入金される訳ですが、このお金は誰が払っているのかご存知でしょうか。
払っているのは電力会社ではありません。私たちです。
毎月の電気代の明細の項目に、「再生エネルギー調整武課金」というものがあります。これが、売電のお金になっています。
つまり私たちは、通常の電気代プラス、太陽光発電設置者に対して支払う売電分のお金も請求されている訳ですね。
産業用太陽光発電設備を導入するメリット デメリット
出力50kW未満、野立ての太陽光発電設備
出力50kW未満の産業用太陽光発電のメリットとデメリット
⚫︎メリット
① 売電収入を得られる(年間200万円前後、2017年)
② 売電期間が20年間と長い
③ 大きな自然災害などがない限りはほぼ確実に収支はプラスになる
⚫︎デメリット
① 初期投資費用が高額
② 毎年、除草作業が必要(設置場所によります)
③ 売電期間終了の20年後以降に処分費が発生する
一番のデメリットは、売電期間が終わった後の20年後以降にどういう風になるか分からないところですね。
個人的にも売電自体がなくなる可能性は低いと思いますし、20年後は画像のような太陽光発電が全てゴミになるとも思えないのですが、どうなるのかは今は不透明ですね。
こちらの画像も実際に施工した野立ての太陽光発電です。
2015年〜2020年の約6年間にかけて、画像のような野立て(陸上)の産業用太陽光発電をたくさん施工しました。中には住宅も数件ありましたけど、ほぼ野立ての産業用の太陽光発電工事でした。
画像の太陽光発電を説明すると、4区画に別れていて、1区画の太陽光パネルの容量が87.04kWで、パワーコンディショナーの容量が47.2kWになります。
この仕様の太陽光発電が画像の土地に4つあるということですね。境界を明確にするためにフェンスを設置しています。
現在はパワーコンディショナーの容量を50kW未満にし、太陽光パネルの容量を100kW〜で太陽光発電をつくっているところもあります。
1年間の売電収入は、1区画180万円前後でしょうか。
産業用太陽光発電設備を導入するメリット デメリット
社屋 倉庫の折板屋根に太陽光発電を設置
太陽光発電に必要な機器(パワーコンディショナーなど)の設置と電気配線です。
左側(手前)から、売電用電気メーター、主観ブレーカー、監視装置、集電ボックス、パワーコンディショナーが4台になります。
できるだけ交流ケーブルを短く(最短距離)したいので、これらはできるだけ一式まとめて取り付ける形にします。また取り付ける方角も北にします。
太陽光発電には、直流ケーブルと交流ケーブルの両方を使用するのですが、ケーブルはどちらも最短距離にした方が良いのですが、交流ケーブルを長くすると表皮効果や静電容量の関係でロスが多くなります。
なので、どちらかと言えばロスの少ない直流ケーブルを長めにして交流ケーブルが短くなるように機器を配置し施工します。直流ケーブルを短くしようとすると交流ケーブルが長くなってしまいます。
特にパワーコンディショナーですが電圧上昇抑制と温度上昇抑制という抑制機能があります。
パワーコンディショナーの抑制機能というのは、外線(配電線)に太陽光発電の何かしらの故障の影響を波及させないためや、パワーコンディショナー本体を保護するために運転を停止する機能ですね。
あと現在は、出力抑制というのも出てきました。
電圧上昇抑制は、外線(配電線)の電圧が関係してくるので、電圧上昇抑制で運転を停止する累積時間が長くなる場合、電力会社さんに相談する必要があるのですが、
温度上昇抑制というのはパワーコンディショナー本体の内部温度が上昇した時に本体を保護するため運転を停止する機能です。
パワーコンディショナーは運転中、とても熱くなります。メーカーによっては高い時は80度以上になります。パワーコンディショナーの表面もとても熱くなるものもあります。
なので、パワーコンディショナーの設置高さは子供の手が届かない、地上高165cm以上などと決められています。
それだけ熱くなるので、パワーコンディショナーは北側に設置するか、日陰になる場所に設置しなければなりません。
ですので画像のパワーコンディショナーを設置してある建物の壁も北側になっており、1日を通してほとんど太陽光があたらないようになっています。